組織・人事

心理的安全性とは? 心理的安全性の高い職場の作り方をゼロから解説

心理的安全性とは、組織や集団の中で自分自身を自然体で表現し、自由に意見や感情を発信できる環境のことを指します。この記事では、心理的安全性の意義とその背景、その高め方や効果、注意点について解説します。

心理的安全性とは?

心理的安全性とは、組織やチームにおいて、メンバーが自由に意見を述べ、新たな試みを行い、ミスを恐れずに学ぶことができる状況を指します。この考え方は、1999年にハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授によって提唱されました。

なぜ心理的安全性が注目されているのか?

世界中の企業が心理的安全性に注目するきっかけとなったのは、Googleが行った「プロジェクトアリストテレス」です。このプロジェクトは、多角的な分析により生産性を向上させる働き方を明らかにすることを目的としたもので、その結果、心理的安全性がチームの生産性向上に重要であるという結論が導き出されました。

Googleでは心理的安全性を【対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味する】としています。
心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じず、自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があるとしています。
(出典:Google re:Work 「効果的なチームとは何か」を知る

カルチャリアの2021年の調査によると、ほぼすべての企業が、健全な組織運営のために心理的安全性が重要であると回答し、5割を超える企業が心理的安全性を高めるための施策を行っています。このようにビジネスにおいて心理的安全性への注目が非常に高まってきているといえます。

(出典:カルチャリア「84.7%の経営者が「心理的安全性」を高める施策で「売上が上がった」」)

心理的安全性が高い職場のメリット

心理的安全性が高まると、以下のようなメリットがあります。

  1. ストレス軽減・モチベーション向上: 心理的安全性が高まると、ストレスが軽減され、仕事のやりがいが増えます。これにより、職場の雰囲気が良くなり、生産性も向上します。
  2. 情報交換の活発化: メンバーが自由に発言できる環境が整うと、情報交換が活発化します。これにより、チーム全体の知識量も増加します。
  3. 集中力アップ・パフォーマンス向上: 心理的安全性が高い職場では、風通しがよく、人間関係の改善も期待できます。これにより、仕事に集中しやすくなり、パフォーマンスの向上につながります。
  4. 個々の責任感・関心度がアップ: 心理的安全性が高まると、自身の意見が受け入れられ、自分の役割や業務に対する責任感や関心度が高まります。これにより、チームや組織への貢献度も上がります。
  5. イノベーションの誕生: メンバーの個性が尊重されると、多様な価値観から新たな意見やアイディアが生まれやすくなり、イノベーションが生まれやすくなります。

カルチャリアの調査では、心理的安全性の取り組みによって売上/生産性向上につながったと回答した企業は8割をこえており、心理的安全性の様々なメリットが最終的に売上/生産性向上にもつながるといえます。

(出典:カルチャリア84.7%の経営者が「心理的安全性」を高める施策で「売上が上がった」

心理的安全性が低い職場で起こりがちな問題

反対に、心理的安全性が低い職場では以下のような問題が起こりがちです。

  1. 「無知」と思われる不安: 質問や相談を躊躇してしまうことから、必要な情報を得られず、仕事の効率が下がります。
  2. 「無能」と思われる不安: ミスや失敗を報告できず、後々大きな問題になることもあります。
  3. 「邪魔をしている」と思われる不安: 自分の意見や提案を控えがちになり、新たなアイデアを生み出す機会を逃がします。
  4. 「ネガティブ」と思われる不安: 自分の意見を控えがちになり、チーム全体の生産性が上がりにくくなります。

心理的安全性を高める方法

心理的安全性を高めるためには、以下のようなアプローチが有効です。

  1. 価値観を共有する: チームメンバーが互いに認め合う価値観を共有することで、心理的安全性を高めることができます。
  2. 情報共有を徹底する: チーム内での情報共有を徹底することで、誰もが同じ視点で発言できる環境を整えることが重要です。
  3. オープンな組織づくりを行う: 一人ひとりが自然体でいられるような職場環境をつくり、互いに意見を尊重する風土を築くことが重要です。
  4. ピアボーナスを導入する: メンバー同士が互いに感謝の言葉や報酬を送り合う「ピアボーナス」の導入も有効です。

各企業では、上記の他にも1on1ミーティングの実施やメンター制度の導入など、心理的安全性を高めるための基盤づくりが様々な企業で行われています。

(出典:カルチャリア84.7%の経営者が「心理的安全性」を高める施策で「売上が上がった」

心理的安全性を高めている企業の事例

株式会社リクルートホールディングスは、社員のパフォーマンスを引き出し、行動指針である「バリューズ」を体現する組織づくりをミッションとして、2018年10月に「Employee Experience Design」を発足しました。
様々な取り組みを行っている中でも、心理的安全性を高める施策として、相互理解を促すメルマガ「WOW通信」の配信や、月に1度行われる自分自身のコンディションをオープンにする「今月の調子さん」の取り組みを実施しています。

WOW通信では従業員の価値観を紹介していきますが、「大事にしている価値観やモチベーションの源泉は?」「仕事を通じて生み出したい価値は?」といった形でインタビューが進められ、大事にしている価値観や、リクルートで働く意味を自然体で表現できる場となっています。
これらの施策を通じて、「昔はすごく無機質な組織で、仕事を機械的に進めるイメージだったけれど、今は人の個性や多様性を認めて、ありのままの自分でいいんだという雰囲気が伝わってきます」という従業員からのコメントもあり、心理的安全性向上の効果を発揮しているといえます。

「今月の調子さん」では、月に1度、自分自身のコンディションをオープンにしているそうです。1〜10段階で自身のコンディションを表現し、仕事のことからプライベートのことまで、自由にコメントを書いてお互いの近況の共有を促すことで、組織の中で自分自身を自然体で表現し、自由に意見や感情を発信できる環境づくりを行っているといえます。
(出典:SELECK 正しい「心理的安全性」が組織の実行力を高める。リクルートのエンゲージメント経営

まとめ

心理的安全性は、組織やチームのパフォーマンスを向上させるために重要な要素です。職場の心理的安全性を高めることで、メンバーは自由に発言し、新たなアイディアを生み出し、イノベーションを起こすことができます。また、心理的安全性が高まることで、ストレスが軽減され、仕事のやりがいが増え、結果的にパフォーマンスも向上します。心理的安全性を高めるためには、情報共有を徹底し、価値観を共有し、オープンな組織づくりを行うことが重要です。

PERSONA

ビジネスメディア「PRESONA MEDIA」は、経営、新規事業、マーケット、人事、BPRなど幅広いビジネス知識を提供。各カテゴリのビジネス基礎知識と応用・事例の情報提供を通して、プロジェクト責任者の課題解決をサポートします。さらに、フリーコンサルタントを活用した実行支援を通して、知識だけではなく、机上の空論だけではない支援も提供しています。PERSONA MEDIAは各業界のプロフェッショナルを司るプロフェッショナルクラウド「PERSONA」ブランドです。

Related Articles

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top button